たった1回のLSDで落ちた場所
あれは、たった一度の出来事だった。
だが、その一度で人生の地面が抜けた。
酒と女と音楽。
その瞬間の自分にとっては、ただの快楽の延長だった。
だが今振り返れば、それはあまりにも危険な条件が揃いすぎていた。
現実と夢の境界は、気づかないうちに崩れていった。
気づいたときには、もう戻れない場所にいた。
湘南の、瓦礫のような風景の中。
現実なのか夢なのかも分からないまま、ただ苦しんでいた。
体は制御を失い、小便もクソも漏れそうになりながら、
ただ「死ぬ」という感覚だけが異様にリアルだった。
誰かに仕組まれた芝居の中に放り込まれたような感覚。
逃げ場はなかった。
時間の感覚も壊れていた。
数分なのか、何時間なのか、何日なのか。
ただ「苦しみ」が続いていた。
ぐるぐると回る視界。
思考はまとまらず、身体は重く、意識は分裂していく。
その中で、ただ耐えるしかなかった。
やがて、ある瞬間。
目の前の回転が、すっと消えた。
あれほど続いていた異常な感覚が、
まるでスイッチを切ったかのように止まった。
そのとき、最初に自分に言い聞かせた言葉は単純だった。
「酒のせいだ」
そう思わないと、現実を保てなかった。
だが今なら分かる。
あれは単なる酔いではない。
脳の深い部分まで、強制的に開かれた状態だった。
たった一度。
だがその一度で、人間の限界を越えた感覚を知ってしまった。
あれ以来、
「現実」というものに対する見方は変わった。
戻ってきたようで、
完全には戻っていない。
あのときの感覚は、今もどこかに残っている。
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